10月7日 晴れ

主にHANNIBAL。

【ハンニバル】S1E8:フロマージュ

■あらすじ

弦楽器店を営むトバイアス人間の腸を使って特別な弦を制作していた。その友人であるレクター博士の患者フランクリンはトバイアスをサイコパスではないかと訝しみレクター博士に相談する。

 

《今回の事件:人間チェロのセレナーデ》

楽団員のトロンボーン奏者が後頭部を殴られた上、口からチェロのネックを突き刺して切り裂いた喉を弦に見立ててステージに飾られるというおぞましい事件が起きる。声帯の周りは綺麗に取り除かれオイルが塗られていた。

ウィルは薬を飲み、辛さに耐えながらプロファイリングに参加する。弓の松脂を見つけ、この人間チェロを弾くことで犯人は自分の音を生み出そうとしたのだとウィルは見立てる。そしてその演奏に拍手する死んだホッブズの幻影を観るのだった。

 

<ウィルとレクター博士のセラピー>

ウィルの見立ては、”腕の良い音楽家が新しい楽器を試している”。この手慣れた犯行は初めてではなく、この殺しは「演奏」であり、犯人は職人でもあるというもの。今回特別に劇場型の事件を起こしたのは、”自分がいかにうまく殺しをできるか、誰かに見せつけたい”からだとウィルは分析する。

 

<トバイアスとレクター博士

フランクリンは、トバイアスが自分に残虐な行為への欲求を話すのは、自分を通してそれが先日紹介したレクター博士に伝わるからだと推察する。それを聞いた博士はトバイアスの店を訪ね、ハープシコードの弦の張替えを依頼し、ディナーに招待する。

トロンボーン奏者を殺した?」と単刀直入に尋ねる博士にトバイアスは「調査員を送ってくるなら殺すだけだ、フランクリンも殺して私は消える」と返す。そして博士の切り裂き魔としての犯行を目撃していることを仄めかし、同じように世界を見る友人がほしいと言うのだった(博士は拒絶する)。

 

<アラーナとウィル>

一方、ウィルの幻聴や幻覚はますますひどくなる。コヨーテの共食いやアライグマの物音が聞こえる、と言い張るウィルをアラーナは心配する。ずっと部屋でふたりきりになることを避けていたアラーナ(「今はだれともデートなんて考えられない」)にウィルはくちづけるが、特殊な関係だからうまくいくはずがない、あなたに精神科医としての興味があるから分析せずにはいられないのだとアラーナは気持ちを受け入れず、帰ってしまう。

 

ウィルは雪の中レクター博士を訪ね、アラーナにキスしたことを「お互いのために良くないからと一蹴されてしまった」と報告する。そして煙突から動物の鳴き声が聞こえたこと、何もいなかったこと、そこへ現れたアラーナに自分の混乱状態を見抜かれたと思ったこと。

頭痛、幻聴、夢遊病という己の不安定さからバランスを保とうとキスをしたのだろうと博士は分析する。「今も犯人のセレナーデは聞こえるかい?」「彼女との歌なら」。そうして博士はトバイアスの存在をウィルに告げ、恋愛の悩みから事件へと再びウィルを引き戻す(この辺意図的としか思えない)。

 

<博士とベデリア先生のセラピー>

レクター博士は「彼は私とは似ていないし世界観も違うが、私の視点に立てる」とウィルに友情の可能性を感じていることをセラピーでベデリア博士に打ち明ける。

 

<事件の展開と結末>

ウィルとFBIは博士の助言を元にトバイアスの店を訪れるが、ウィルはそこでも幻聴に悩まされ、その隙に巡査が殺される。ウィルは単身トバイアスの秘密の地下室に潜入し、もう一人の巡査の遺体を発見、自らも襲われるがトバイアスの耳を撃ってなんとか生き延びる。

トバイアスはフランクリンとの面会中のレクター博士を訪ね、「警察に問いつめられて2人殺した」と告げる。フランクリンがトバイアスを説得中にレクター博士は背後から彼をひねり殺し、トバイアスとの死闘の末に彼をも殺す(勿論フランクリンの死もトバイアスのせいにした)。

 

すべてが終わった現場を訪れたウィルに博士は潤んだ瞳で「君が心配だった」と告げる。ウィルは「僕の世界にあなたを引きずり込んでしまった」「自分で足を踏み入れたんだ、独りじゃないのは心強い」と語る唇の端からは血が流れ、いつも美しく整えられている髪は乱れていた。

 

その後、フランクリンの死に責任を感じてしまう、と語る博士(本当かよ)にベデリア先生は「誰しも自分の命の責任は自分で負うしかない(自分も襲ってきたので殺した患者の死にまで責任は負えない)」と語るのだった。目の前の相手が殺人鬼であるとも知らず。

 

***

 

※通常このブログ用に見返す時は字幕版にしているが、今回は吹替で観てみた。ながら見はしやすいし二人共実に声がいいけれど、解釈は限定される気がするのでこれからも字幕メインで観る気がする。

 

今回のテーマは「(誤った)友情」。「サイコパスには何をしているか自覚があるからね」「(フランクリンは)友人を間違えただけ」と語る博士の説得力がすごい第8話。起きる事件も前代未聞のエグさであるがウィルの壊れ方もひどくなってきている。 

 

それにしてもサイコパス同士はひかれ合うのか(「私は細身だしね、腸が丈夫だ」は笑える)、トバイアスは友情を(おそらくは一目観てサイコパス仲間と見抜いた)レクター博士に求めて彼にアピールするために劇場型犯罪を犯すが結局は殺し合いとなる。なんだかんだ言ってこのシリーズで一番アクションしてるのは博士である。 

いずれにせよ巻き込まれるウィルはたまったものではないが、本人もいきなり訪ねてきて「アラーナにキスした」とか報告してくるしどっちもどっちという説もあるしわんちゃんたちは今回もとても可愛い。

 

この頃からベデリア先生のことも操ろうと事あるごとにセラピー(受ける側)を装ってかつて患者に襲われてその相手を殺したことを持ち出しているのも、後から考えると周到である。

 とりあえず今のところ博士は一貫してウィル以外からの友情は拒絶している(ベデリアには拒絶されている)が、ウィルにはいよいよ友情を感じ始めているらしい。というか愛か。恐ろしい話である。