10月7日 晴れ

主にHANNIBAL。

【ハンニバル】S1E13:ザヴルー

■あらすじ

黒い牡鹿を狩る夢にうなされて目覚めたウィルは、違和感を感じて口から人間の耳を吐き出す。一緒にミネソタに行ったきり行方の知れないアビゲイル(ウィルには途中の記憶が無い)のものではないかと震えるウィルに、助けを求められてやってきたレクター博士は優しく毛布を差し出すのだった。

 

《今回の事件:アビゲイルの失踪(殺害?)》

姿を消したアビゲイル。ウィルが吐き出した耳は彼女のものであり、最後に一緒にいたのも彼であることから参考人としてウィルは連行される。寂しそうに連れて行かれるウィルを見つめるウィンストン(犬)が切ない。

※ウィルは前回共に訪れたミネソタの「百舌」の狩猟小屋でアビゲイルを殺す幻覚を観たが、現実に何が起きたのかは把握できていない。実際はアビゲイルは自宅に戻りレクター博士と逢っていた

 

<ウィルの不利となる証拠群、アラーナとジャック>

「証拠から犯人を導き出してみて」と同僚のカッツに言われ、「証拠から考えると、僕がアビゲイルを殺した」と答えるウィル。ウィルの爪からは血や皮膚が見つかり、腕には抵抗された跡、ジャックをはじめとする捜査班は精神を病んだウィルが彼女を殺したと判断せざるを得ない状況となる。

一方アラーナはジャックに「だから深入りさせるなといったのに」と激高する。またどうしてハンニバル・レクターほどの男が異常に気づけなかったのかと。

本当の元凶は脳炎だが、レクター博士が検査結果を偽り、検査を行ったサトクリフ医師も殺しているためジャックは「治すべき原因がない、脳に異常はない」とアラーナに答える。アラーナはホッブズと同化し彼を殺してしまったことが元凶だと考える。ウィルは奴の望みを叶えた、とジャック。「私達がアビゲイルを殺した、ウィルのことも」絶望するアラーナ。

 

<アラーナの献身とウィル>

重要参考人として囚われの身となったウィルのもとをアラーナは訪ねる(ジャックの監視のもと)。「傷つかずに済んだね」と皮肉を囁くウィルに、「そうとは思えない、ひどい痛手だわ」と返すアラーナだった。犬達の面倒は、あなたが戻るまで私が見るとも。

脳の異常をまだ疑うアラーナはウィルに時計の文字盤を描かせようとし、以前にレクター博士が同じことを行って”異常が見つからなかった”というウィルの答えを聞いて不審に思う。そして実際にウィルが目の前で描いた文字盤は、やはり片方に偏った異様なものだった。

 

レクター博士とベデリア先生>

明らかな証拠があるのにアビゲイルが生きていると期待してしまう、とべデリアの前で涙を流すレクター博士。「子供を持つつもりはなかったのに」アビゲイルに出会って、愛する子を支えて導く魅力を知ってしまった、と博士。

ウィルのことはまだ諦めていないと言う博士に、関わるべきではないとベデリアは諭すが「私なら力になれる、決着をつける」と博士は語るのだった。

 

<さらなる証拠>

ウィルの自宅の毛鉤(釣りのために自作していた)から人体の一部が発見される。今まで「模倣犯」に殺されたとされていた被害者4名のものである(キャシー、マリッサ、サトクリフ、そしてジョージア)ことが判明し、捜査班はウィルこそが模倣犯、ずっと追っていたシリアルキラーではないかと考える。

※実際には毛鉤に証拠が残っていたのは、第4話のように簡単にウィルの家に入ることができた(おそらく留守中の犬の世話のために合鍵をもらっていた?)レクター博士の小細工と思われる。 が、当然ながらそのことには誰も思い至らない。

 

<ウィルとジャック、そしてウィルの逮捕>

なんとかウィルが無実であると考えたいジャック、ウィルも覚えていないことは告白できないと語る。覚えのない殺しの証拠を突きつけられ戸惑うウィル。少なくともマリッサ達が殺された時、自分は正気だったと。

ようやくウィルは、「誰かが僕をはめた」と気づく。「あなたの身近にいる誰かが仕組んだ」捜査に精通している人物で、ウィルが不安定であることも知っている人物だと語るウィルだが、ひどい被害妄想だとジャックは相手にしない。

ついにウィルはジャックにより逮捕されてしまうが、移送中にウィルは脱走して行方をくらます。

 

<ジャックとアラーナ、レクター博士

脱走したウィルの脳炎を未だ疑うアラーナに、無意識で5人も殺すことがありえるのか、認知症ではなくサイコパスだとジャックは断定する。その疑いに乗じ、模倣犯ホッブズに電話したことさえウィルなら可能だったと巧妙に罪をなすりつけるレクター博士ホッブズを引き当てたのも手品のようだった、少し怪しいと。時計の文字盤でさえ、わざと異常に描くことは可能である。

 

<ウィルとレクター博士

ふたりが帰った後、診療所の二階に現れたウィルとレクター博士は会話する。「新たな証拠がない限り君が殺した可能性はある」「アビゲイルだけなら僕も納得した(他の4人は殺していない)」。君は常に自分をわかっているわけじゃないと語る博士に、「誰かが僕を犯人に仕立てようとしている」とウィルは言う。そこで博士は、では犯人であると仮定して振り返ってみよう、とセラピーを申し出るのだった。

 

今までの”模倣犯”の被害者:

1)キャシー・ボイル:「ミネソタの百舌」を模倣し、鹿の角で突き刺されて晒された(第1話)。

 →(博士)君は捜査で手口を知っていた。彼に近づくために殺したのでは?「あの時はミネソタにいなかった」と反論。けれど土曜に失踪し月曜に発見されたため、週末なら可能だと更に返される。

2)マリッサ:「ミネソタの百舌」の模倣で、ホッブズの狩猟小屋で角に突き刺されていた(第3話)。

 →アビゲイルに似ていると思ったのでは? 同じ身長・体重・髪の色も同じ。ホッブズが殺さなかったのが不思議なはず。

3)サトクリフ医師:ジョージアの手口を模倣、喉(顎)を切り裂かれて舌を取り出された(第10話)。

 →君が殺したと錯覚した女性の手口と同じ。頭のなかに入って取り憑かれてしまったのでは?

4)ジョージア:酸素カプセルの中で焼死。おそらく第3の殺害を目撃したために殺された(第12話)。

5)アビゲイル:遺体は見つかっておらず、ウィルの口から耳が吐き出された。最後の居場所はミネソタ

 

これまでを振り返り、ウィルは「僕をミネソタへ連れていってください。アビゲイルの殺害現場へ」とレクター博士に依頼する。そこで犯人をプロファイリングしようと言うのだ。

 

ミネソタへ>

姿を消したウィルと博士はミネソタへ。アラーナとジャックはベデリア博士のもとを訪れ、彼女は「ウィルを助けられるのはレクター博士だけ」と語る。

一方ウィルとレクター博士は、すべての始まりとなったホッブズ邸へと向かう。ウィル達があの日捜査の手をのばすほんの一瞬の隙をついて、模倣犯ホッブズに電話したのだ。

 

そうして、博士とウィルはホッブズの殺害現場で言葉をかわす。

「君は特別だからこそ孤独なんだ」

「あなたと同じ」

「ずっと抑えてきた衝動に従い、直感のままに別の誰かになった」

「自分が誰かは知っている。わからないのは、あなたが何者かだ――僕らのどちらかが、アビゲイルを殺した

犯人は他にも殺しているんだと言うレクター博士に銃を向けるウィル。博士は驚いた様子で「それが本当の君か。君は人殺し?」「僕はいつもどおりだ、ようやく視界が開けた。あなたが見える、今は」「何が見える?」

とうとうウィルは気づく。「電話の男だな」アビゲイルは知っていた、だからあなたも彼女の秘密(ニコラスを殺した)を守ったんだと。すべてを見通したウィルにそれでも博士は動じず、私も殺すのかと訪ねる。そこへひっそりとやってくるジャック。

 

「あなたには動機がない、ただ見てみたかったんだ…僕のような特殊な人間を挑発して、どうなるかずっと観ていた。僕はこうする」博士を撃ち殺そうとするウィルを、今度はジャックが撃った。

 

<結末>

撃たれて入院したウィルは右脳に炎症が見つかった。回復の見込みはある、と付き添いながらジャックに語るレクター博士(あくまで銃で脅されてミネソタに行ったことになっている)。

「壊れていく人間を多く見てきたが、こんな壊れ方は、見たことがない」と嘆くジャックに、「人はそれぞれ違う」とだけ告げるレクター博士だった。

 

ベデリア先生とディナーを共にした翌日、レクター博士ボルティモア州立精神病院を訪れる。そこには緑の制服を着せられ、収容されているウィルの姿があった。

 

やあ、ウィル」「ハロー、ドクター・レクター」檻の向こう側と此方側で、運命の2人は向かい合う。

  

*****

 

ついに訪れたシーズン1フィナーレとなる第13話。博士の涙がセラピーで見られるが、この涙も本物にしか見えないのが恐ろしいところである。実際博士は上記の模倣犯事件以外にも切り裂き魔としてバンバン殺しまくっているのであるが、ウィルが着せられた罪は5件。とんでもない迷惑だが、ウィル自身の不安定さと病が周囲にそれを信じこませてしまうのが切ない。

 

ジャックからすればずっとそばで励まして(というか怒鳴りつけて)大丈夫だと信じて共に戦ってきたウィルが最初からどんどん壊れていって何人も殺していた、最後にはあのレクター博士まで殺そうとしたという(見せかけの)事実はあまりにもショックだろうが、平然と慰める博士がシーズン2を思わせる。

そして最後にベデリア・デュ・モーリア博士と仔牛を食べるレクター博士。この2人も相変わらず謎である。

 

しかし考えてみればここで真相に気づくウィルもまた常人ではなく、どこで博士の策略だと気づいたのかは微妙だけれども確信を持ったのは「よく考えたらこの人、うまい具合に僕に自分が殺したって思い込ませようとばかりしてるな」ってところだったのかと。衝撃的な結末、来週からはシーズン2とシーズン3(スタチャン)を平行して見られるといいな。