10月7日 晴れ

主にHANNIBAL。

【ハンニバル】S1E6:アントレ

■あらすじ

病を装った囚人兼患者による凄惨な事件が勃発し、ウィルとジャックは現場へと向かう。

 

《今回の殺人事件:看護師惨殺事件》

精神障害犯罪者病院に妻殺しで収容されていた元外科医、エイブル・ギデオンが看護師を惨殺する。

身体中に器具を突き刺したその犯行から、記者のフレディ・ラウンズや担当医のチルトン博士(以前切り裂き魔事件に捜査協力していた)は彼を連続殺人鬼「チェサピークの切り裂き魔」だと断定。切り裂き魔が捕まらなかったのは、2年間この病院にいたからだと推察する。

 

<ジャックの回想:ミリアム・ロスについて>

2年前、FBIアカデミーの生徒だったミリアムをジャックは「切り裂き魔」の捜査担当に抜擢し、事件に専念させたがその後失踪。おそらくは死亡したと思われる彼女のことをジャックは思い出さざるを得なかった。

 

<ギデオンとの面会>

以前にも診察したことがあるアラーナと、ウィルが別々にギデオンと面会する。ギデオンは自らを切り裂き魔だと仄めかせるが、今回の事件は死後に遺体が傷つけられており、生前に傷めつける切り裂き魔とは細部が異なっていた。ギデオンは「看護師を殺したかっただけ、この犯行で自分が切り裂き魔であることを証明したいわけではない」と語り、ウィルはそれが別の「誰か」の望みであると分析するのだった。

 

面会や現場検証、検死を経てもウィルは今回の事件を切り裂き魔の犯行と感じない。もしも偽者ならば本物が黙っていないだろうと考える。

 

<博士とジャック、そしてミリアム>

妻のことが気がかりでレクター博士を遅くに訪ねるジャック。避けられない妻の死と、かつて自らのせいで失った研修生ミリアムのことが忘れられない。彼女は犯人はサイコパスであり、外科医ではないかとプロファイリングしていた。

 

そんな中、深夜ジャックの自宅に死んだはずのミリアムから電話がかかってくる。「助けてください、大変な間違いを犯しました。ここがどこだかわからない、こんなふうに死にたくない」と怯えて嘆く声は、しかし通話記録には一切残っていなかった。切り裂き魔は彼女の声を録音していたのだとジャックは戸惑い怒りを露わにする。

病院から電話はできない、ギデオンは切り裂き魔ではないのか。ミリアムの遺体は見つかっていない、彼女は本当に死んでいるのか。本物の切り裂き魔が自らの存在を主張しているのか。プロファイリングに悩むウィルはまたも黒い牡鹿の幻覚を観るのだった。

 

<ジャックの作戦>

切り裂き魔を刺激し、本物をおびき出そうと狙うジャック。怒らせるにはラウンズ記者と手を組み、ギデオンを本物の「チェサピークの切り裂き魔」に仕立てようと考える。思惑が絡み合いながらも協力するFBIとラウンズ。

 

そうして発表された、”外科医エイブル・ギデオンは妻を殺しただけでなく、おそらく彼こそが「チェサピークの切り裂き魔」である”と断定した記事をタブレットで眺めるレクター博士であった。

 

<ジャックとギデオンの面会、そして二度目の電話>

2年前の捜査時にミリアムとも接触していたことを認めるギデオン。感謝祭での妻殺しでは臓器を取っていないこと、自分が切り裂き魔だというなら何故急に正体を明かしたのか、ミリアムの遺体はどこなのか、質問はうまくはぐらかされる。そんな面会中に、ジャックの自宅から再びミリアムを名乗る声で同じメッセージの電話がかかってくる。

 

ジャックの寝室からミリアムの頭髪、指紋が見つかる。電話の相手はジャックがミリアムの死に責任を感じていることを知っている、とウィル。令状を取らずに医療記録の捜査を行うことを提案したミリアムの報告書を見て、当時ジャックは彼女に講義に戻るよう命令していたが、講義をサボって外科医に会いに行くことをほのめかす彼女を止めなかったのだ。

 

<今回の博士のディナー>

模範囚だったギデオンは今回誰かに操られているのではないかと考え始めるアラーナは、チルトン博士とともにレクター博士のディナーに招かれ仔牛の舌料理を堪能する。(怖いよ)

 

考えられる可能性:

1)ギデオンが切り裂き魔である

2)彼はそう思い込んでいる(思い込まされている)

3)彼は大嘘つきである

 

3つの可能性のうち、ギデオンを切り裂き魔だと断定するチルトン博士。実は以前彼はギデオンに切り裂き魔の話をしたことがあり、自分が疑い始めたことが彼を2年ぶりの凶行に走らせたのかもしれないと考えていた。

一方アラーナは2番、その面会の中でチルトンが彼にそう思い込ませたのではと尋ね、レクター博士は抑圧されていた記憶を自ら思い出したのではないかと分析する。少なくとも表面上は。(実際にはその後チルトン博士に「私はブルーム博士より寛容だよ」と彼の洗脳を容認する言動をほのめかせている)

 

<ミリアム(の一部)の発見>

寝室にいたのは本物の切り裂き魔であり、ギデオンとは別人であるとジャックは考える。ミリアムの過去の足取りを追ってたどり着いた天文台には、携帯電話を握らされたミリアムの左腕が置かれていた。そしてメモには「What do you see(何が見える)?」の文字。全てはもう終わっていたのだった。

 

<2年前の真相> 

ミリアムは当時医療記録をもとに、外科医時代に関わった被害者の話をレクター博士に聞きに来ていた。そして証拠(スケッチ)を見てしまった彼女を博士が襲っていたのである。が、彼女が博士を訪ねていたことさえ誰も知らない。

 

***

 

サイコパスに人気なだけでなく精神犯罪医学界でも有名人だったウィル。ぜひお話させてくれってどんだけどこでも変わり者に人気なんだって話ですが本人のうんざり顔が受ける第6話。ウィルの活躍はあまり(というかほとんど)なく、ジャックとミリアムの過去回想、切り裂き魔の正体が話の主軸となる。

そしてギデオンチルトン博士がこのサイコドラマに初登場する。いつでもスタイリッシュで社交的、天才外科医としても精神科医としても皆から評価されるレクター博士にコンプレックスバリバリのチルトン博士(あげくに手柄欲しさにギデオンに自らを切り裂き魔だと思い込ませたのでは?)だが、この時はまだ健康そのものである。

 

毎度切り裂き魔というより突き刺し魔ではないかと思うが臓器を切り裂いて取り出しているから切り裂き魔なのだろうか。。今回博士は表立ってはあまり動かず、見え隠れする「チェサピークの切り裂き魔」としての影が恐ろしい。

「一瞬彼女が生きていると思わせ」て腕を見せるという残酷なやり方でジャックとFBIを弄んだのは、本物の「切り裂き魔」である博士からの怒りの現れだったのだろうか。

 

面白かったのは異常者の選ぶ職業。CEO、弁護士、聖職者、第五位は外科医。第六位はジャーナリスト、そして第七位は捜査関係者。ものすごくラウンズをあからさまに嫌って嫌味を応酬する大人気ゼロのウィルちゃんであった。(あそこまでいろいろ書かれたら無理ないか)「異常者同士協力しましょ」と抜け抜けと笑うラウンズ、どうにも憎めない赤毛の悪女である。

 

(それにしても博士がタブレットを観る距離、それもうちょいだけ離したほうが老眼にはいいのでは? と思ってしまう老眼萌えであった)