10月7日 晴れ

主にHANNIBAL。

【ハンニバル】S1E2:アミューズ・ブーシュ

■あらすじ

ウィルが連続食人鬼「ミネソタの百舌」ことホッブズを射殺し、事件は解決したかに見えた。ジャックは娘も共犯の可能性を示唆するが、狩猟小屋を観たウィルは彼の単独犯であると推察する。ただし、他にも誰かがこの小屋に来ていたことに気づく。

 

英雄と讃えられる一方で、ホッブズを殺してしまったことによりウィル本人も今回の事件に深く影響を受けていた。また模倣犯の存在(実際にはウィルのためにレクター博士が行い、肺を取り出して食べている)も忘れることは出来ない。

 

ホッブズの娘アビゲイルの病室に泊まりこむウィルを心配するアラーナとジャックだが、犯人を射殺した経緯(犯人1人に10発も撃っている)が査問会で認められ、ウィルはレクター博士のセラピーを受けることを条件に現場に復帰することになる。

※かつてウィルは殺人課にいたことがあったが、人を撃つことに抵抗があり辞職した過去がある。また、いまだに射撃は下手で練習場に通っている。

 

かくしてセラピーが始まる。強すぎる共感力によって犯人と同化してプロファイリングを行い、その代償として常に苦悩し続けるウィルにハンニバル・レクター博士はあくまで紳士的に手を差し伸べる。

 

博士のみごとな擦り寄りポイント

・頭のなかを覗かれるセラピーを嫌がっており自らも精神分析に詳しいウィルに対し、初回であっさりと「君の精神鑑定結果は正常、責任能力もある」と分析は終わったふうに話して安心させる

・あくまでも「ジャックの君に対する罪悪感を消すために」形式としてセラピーを行うのだとして、「そして我々は仕事抜きで話せる」と友人関係として歩み寄る

・「私もアビゲイルには責任を感じている、彼女の運命を変えてしまった」とウィルの罪悪感を認める

・アビゲイルもホッブスの共犯だと考えるジャックの意見を「低俗」と切り捨ててウィルに同調する

 

そんな中、あらたな猟奇殺人事件が発覚するのだった。

 

《今回の連続殺人事件/生き埋め・人間キノコ栽培

土の中から発見された9つの裸の遺体からは無数の茸が生えて、まるで”畑”の様相を呈していた。被害者達は意図的にしばらくは生き埋めにされ、チューブで栄養を点滴し、土には肥料が与えられていた。

 

現場で犯人に同化して分析していたウィルは、その最中に自らが射殺したホッブズの幻覚を見ておののく。一方、犯罪特集サイトを運営する記者のフレディ・ラウンズは関係者を装って現場に近づき、プロファイリングを行うウィルを目撃して噂を集めていた(ホッブズの狩猟小屋に忍び込んだのも彼女である)。

 

セラピーで現場復帰は早かったのかもしれないと語り、「自らも殺人を犯したから、殺人者への共感が辛くなったのか」というレクター博士からの問いに頷くウィル。博士はジャックには報告しないと答える。

 

犯人は被害者達を出来る限り生かして、茸を育てるための肥料にしていた。何か全く新しい繋がりを求めていたのではないかとウィルとレクター博士は分析するが、そのセラピーを患者を装ってラウンズは盗聴し、レクター博士に見抜かれて消去させられる。 

しかしラウンズは自らのサイトにウィルのことを「壊れた心で犯人を追う男」として記事にしてしまう。それが今回の事件に大きな影響を及ぼすとも知らずに。

 

親しげにディナーを共にしつつウィルやジャック自身について語るジャックとレクター博士。一方検死が進み、被害者達は糖尿病だと見ぬいたウィルは犯人は医療関係者であり、畑を掘り起こされたからにはまた作るはずだと推測する。

 

今回の犯人は薬剤師だった。同じ店でインスリンを購入した患者10人が失踪していることを突き止めたジャック達が容疑者に迫り、トランクの中から新たな被害者を生きたまま発見するが犯人には逃げられる。

その逃亡のきっかけとなったのがラウンズの記事だったことが判明し、許可無く現場を荒らしたとしてラウンズ記者を司法妨害で逮捕する。

 

犯人が逃亡する中、昏睡状態が続くアビゲイルに優しく本を読んでやるアラーナと、病室で付き添ったまま眠っていたウィルは2人で言葉を交わす。ラウンズの記事について、アビゲイルに読み聞かせていた本について。

 アビゲイルの命を救ったことはウィルの功績だと讃えるアラーナ、そしてウィルはホッブズを殺したことを後悔しているどころか、気分は爽快だと認めるのだった。

 

逃亡した犯人は開放されたラウンズに抗議しに来た刑事(リーク元)を射殺、ラウンズに「ウィル・グレアムのことを教えろ」と迫る。

ラウンズの記事を読んでウィルを自分の理解者であると考え、繋がりを求めている犯人はホッブスの娘アビゲイルのこともラウンズから聞き出し、生き埋めにしてウィルと繋げようと病院を襲う。そしてアビゲイルを攫い、ウィルに撃たれて逮捕される。

 

すべてが終わった後、レクター博士はウィルに、君を悩ませているのは殺人の欲求、つまり殺してしまったからではなく殺した時に気分が良かったことではないかと尋ねる。(殺すつもりで)犯人を撃つ気がなかったとは言い切れないと応えるウィルに、博士は言う。「殺意があったなら、それは彼を理解したからだ」。口にできないことに、声を与えるのは美しいと。

 

ホッブズを殺して気分が良かったと告白するウィルに、神も同じ気持ちだと博士は告げる。ずっとやっていること、先日も賛美歌を歌う34人の上に屋根を落とされた。

殺すことで「力を感じているのだ」と穏やかに囁くレクター博士を、不可解な瞳でウィルは見つめるのだった。

 

***

 

ホッブズを殺してしまい、アビゲイルから両親を奪ってしまったことに苦悩しているように見えて、実は後悔はしておらず撃ち殺して気分爽快だったこと(アビゲイルには責任を感じているが)を最終的には(博士の見えない導きによって)認めるウィル。出番は控えめだがここでも博士の影響力の大きさ、人を操る能力のずば抜けた高さが感じられる2話目。

 

今回はラウンズの登場、容疑者を射殺したウィルのトラウマ、人間から培養される茸、ウィルとレクター博士のセラピー開始と要素が詰まっている。「我々は菌から進化した、だから菌に還る、君なら理解できるはずだ」と相変わらず絶好調にサイコパスに好かれるウィルである。

 

「これはセラピー? 慰め合い?」と吐き捨てた時点でウィルは大分取り込まれているが自覚していない。一方登場するなり「君はとても無礼だ」と博士に言われたラウンズ、もうすぐ死ぬかと思ったら意外とそうでもなかったですね。そしてジャックと博士の記念すべき晩餐会たぶん第一回もここ。いつも材料が気になる。

 

ウィルに「殺して気分が良かった」と認めさせ、更にそれは神(=自分?)も同じ気持ちだ(殺すことで力を感じている、神は素晴らしい)と2話からサイコパス全開の博士ですが、あまりにも上品に囁くことでこれからウィルをどこへ連れて行くつもりなのか。恐ろしい話である。